放置 放置プレイ
既に一般語化している感のある放置プレイだが、SMの世界においては相当に奥深い精神系の責めである。
俺が名付けるところの「オブジェクト責め」と似ていなくもないが、オブジェクトは椅子なり花なり置物なり一応役割が与えられているので、全くの無視、あるいは時に存在さえも否定される放置プレイとは似て非なるものである。
もし放置プレイを効果的かつ自在に使いこなせるならば、その主は賞賛に値する。
行為としては単に無視するだけなのだが、非常に高度な判断が必要だ。
程度が浅ければ放置にならないし、深過ぎれば女性自身が離れていってしまうだろう。
その程度頃合いの見極めが非常に難しい。
駆け引きと言い換えてもいいが、恋の世界でも好きな異性にわざと無視したり冷たくするのは昔から良くあるパターンであり、歩み寄るタイミングが非常に難しい。
ここはSMの話なので恋愛程にシビアなタイミングは要求されないが、相手の気持ちを読むのが鈍感なタイプに深みのある放置プレイは望めない。
更にはM女には精神的に不安定な人間が多いので、過度な放置プレイはその心を直接ナイフで傷付けるに等しいダメージを与える場合もある。
加えて、寂しがり屋の面を持たない女性など少数だ。
それだけに放置プレイは取り扱い厳重注意の責めとなる。
放置(無視)に比べれば罵りや叱りの方が遙かに軽い。
人に全く相手にされないときの不安は誰しも理解できることと思う。
お互いの関係が安定していない初期において長時間又は長期間の放置プレイは避けねばならない。
「嫌われたのかも...」
そう感じた女性は静かに去って行くだろう。
放置プレイはプライドが高くなれば難易度も上がると覚えておけば良い。
もし貴男の相手がプライド高め系のM女であれば、多用しない、あるいは禁じ手にしても構わないくらいだ。
さもなければM女は超売り手市場なので、近い将来三行半を突き付けられることになるだろう。
あるいは突然姿を消す。
放置プレイは非常にデリケートな責めだが、屈辱を好むM女には比較的用い易い。
また、少数派になるが精神的にタフな場合も同様だ。
では何故にわざわざ危険な放置プレイを行うかと言えば、同じ行為をするにしても放置プレイ後ならそれがより一層劇的になるから。
更には「有り難み」の再認識だ。
人間とは良くも悪くも慣れの生き物であり、いつしか奴隷が調教の有り難みを忘れるかもしれない。
そんな時、実はそうではないということを放置プレイは身に染みて教え込むだろう。
その他、罰としての放置プレイもあるが、自分に自信のないM女なら失態の後で無視されれば去っていく可能性も高いので、俺はあまり薦めない。
他の責めをもって罰とすべきだ。
放置プレイがもたらすもの、それは屈辱と寂しさであり、用いる際には十分注意されたい。
というか、普通はやらなくていい。
長期間放置するならば関係を解消した方がいいというのが俺の考えだ。
結論としては長期間に渡る放置は禁じ手、数日あるいは同空間の放置のみ可ということになるだろう。
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