秋が来た。
アウトドアの本番はやはり夏と言えるけれど、秋や冬の泊まりのキャンプも大いに魅力的だ。
夏は大人数でワイワイガヤガヤやるのに向いているが、これからの季節は二人でしんみりやるのにいい。
すなわち、男と行けば友情が増し、女と行けば愛情が増す。
初秋のキャンプが絶妙なのは、しんみりもするけれど、まだまだ外でも楽しめるという点にある。
秋本番になる頃には、山中では日が暮れれば事実上冬のような寒さなので、
飯を済ませればそそくさとテントに引っ込みがちだが、
初秋だと焚き火の暖でだらだら酒など飲みつつ夜更けまで外で楽しめる。
ここはSMサイトであるので、そっちの方面からもアウトドアを語らなければならないが、これがまたいい。
そもそもアウトドアを楽しむというのはとても健康的な行いであって、
アウトドア好きの男といえば硬派なイメージすら連想するが、
そういう健全な場で欲望をも楽しんでしまうというという、両極端なのがいい。
要するに、一粒で二度美味しい。
俺はいわゆるキャンプ場と呼ばれる場所は嫌いで、テントを張るときは必ず人気の無い山中を選ぶ。
もちろんそこは自分の土地ではないけれど、一夜限りは俺のプライベートダンジョンとなるわけだ。
よって、テントの近くには手頃な木が数本なければならない。
ランタンをそこに吊せば辺りは暖かで幻想的な灯にほんのりと照らされる。
木がないとタンタンを地面におかなければならず、こうなると下からの灯で顔が照らされてしまうので、
お化け話でもどうぞ、という雰囲気になってしまう。
夏の暑い夜ならともかく、秋はこれではいけない。
酒で酔ってしまう前に、手頃な枝に持参した麻縄をかけておく。
俗に言う吊り縄というやつだ。
そして、薪を集め終わったら飯だ。
アウトドアの場合、飯というよりは宴と表現した方が適切かもしれない。
秋冬の夜の宴は鍋やおでんに限る。
妙に人恋しくなるこの季節、少し肌寒い山間で愛奴を前に香り立つポン酢の匂いがどれだけ新鮮なことか。
焚き火の前には、明らかに街とは違った時間が流れている。
箸を延ばせば肉や魚は言うに及ばず、普段は脇役であるはずの白菜までもが飛びきりに旨い。
それを陰影豊かな女性の裸体を眺めつつ食う、飲む。
皿が空けば具が取って入れられ、杯が空けば酌の手が伸びてくる。
その光景は幻想的とさえ言える。
夏場だと蚊の襲来がひどくてそうものんびりいかないが、これは秋のキャンプの特筆すべき点でもある。
飯が終わると妖しさは一層に増す。
麻縄をかけておいた木に女性の両手と片足を吊し上げる。
そこからは好き放題。
鞭代わりに拾った枝がしなると、ランタンの灯に照らされた女性の口から小さな悲鳴が漏れる。
ランタンにはたくさんの蛾が集まり、珍しい灯を喜んでいるのか辺りを飛び回る。
少し下がってその光景を眺めれば幻想的というよりは猟奇的でさえある。
俺は好まないが、ここでは水責めというやつも容易にできる。
今ではもっぱら写真やビデオ撮影を前提としたビジュアル的なプレイだと言えるが、
こうして伝わっているということは昔は山村などで行われていたのだろう。
俺は水責めの代わりに裸になり、全身をタオルで擦らせる。
ひたすら擦らせる。
その間、俺は酒を飲む。
星を見る。
月を見る。
そしてまた飲む。
(注:しばしば酒という言葉が出てくるが、秋のアウトドアにおいて酒とはもっぱらウイスキー及びバーボンを意味する)
そうこうしている内に体中が熱を持ってくるので、ウイスキーの瓶を持ったままザブリと清流に浸かる。
これが最高に気持ちいい。
俺は寒さにめっぽう強いが、さすがに三分も浸かると全身が凍り付いてくる。
そこでウイスキーをぐびっとらっぱ飲みする。
すると冷え切った体の中心に一本の火柱が走り、これがまたいい。
(余談だが、タイタニックが沈没して海に投げ出された人々のほとんどはその命を失ったが、
運良く一命を取り留めた人の多くは沈没直前にアルコールを摂取していたそうだ。
更に余談だが、当時タイタニックには日本人が一名だけ乗船しており、その人はYMOで有名な細野晴臣のおじいさんであるという)
とまあ、そんなことをやっているうちに結構酔っぱらってくる。
そこでようやくテントに入るわけだが、その前に火の始末を忘れてはならない。
愛奴の立ち放尿をもって焚き火の始末をさせるが常だが、恥ずかしい部分が焚き火で照らされてこれがまた一興。
テントに入ると俺は寝そべり、愛奴にマグライトの明かりで本を読ませる。
欲情してくるとテントの中でセックス。
あるいは奉仕させる。
果てるとまた本を楽しむ。
回復し、また欲情を覚えるとセックス、奉仕。
テントの中には甘酸っぱい香りが媚薬のように充満する。
気が付けば朝。
再び愛奴に体を擦らせ、清流に浸かる。
膜一枚張った寝ぼけ顔を洗い流せばまた新しい一日の始まりだ。
そして、軽くなった下半身と少しばかりの二日酔いをもって俺はまた街に戻る。
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