タイトル:羊たちの沈黙

映画「羊たちの沈黙」が好きだ。

理由はいろいろある。

作品自体の面白さ...

全編を漂うダークな雰囲気...

ハンニバル・レクター教授に対する憧れ...

けれども、俺にとってこの映画を特別なものにしているのは、犯人の住んでいた素敵な家である。

一見何の変哲もない普通の家、けれども、その地下に広がる迷宮のような空間。

そこには水の枯れた古井戸まで!

「ああ、俺もあんな空間が欲しい」

S男性ならば、誰しもがそう思うのではないだろうか。

すなわち、あの空間を己の欲望のままに理想のプライベート・ダンジョンとして仕上げるのだ。

そんな理想の空間でM女を好きにできたなら...


一体家賃はいくらくらいするのだろう?

決して高くはないはず。

というのも、海外在住のM女に質問してみたところ、欧米では一般住宅においても地下スペースが決して珍しくないそうだ。

あれだけ国土の広いアメリカにおいて地下スペースが普通であり、狭い国土の日本で一般的でないというのも逆なような気もするが、

とにかく、日本で地下空間を持とうと思えば新築の際にとんでもない予算が必要になる。

ダンジョンとしてはとても使えそうにないワインセラー程度の地下空間でも「!!!」な予算が必要だ。

そういう事情を鑑みれば、地下付き一般住宅が決して珍しくない欧米のSM愛好家たちはとても恵まれた環境にあるといえる。

一旦階段を降りれば、そこは日常から完全に隔離された自分だけの城。

日本でも部屋を用意する程度ならば容易にできる。

月数万で部屋一つ借りれば済む話だ。

けれども、問題は音である。

羞恥責め等、SMの内容によっては無音でも十分に楽しめるが、毎々無音ばかりではいられない。

映画のような地下空間さえあれば、いくら鞭音が響こうが、M女がどれだけ大きな声で達しようが、全くお構いなしでいられる。

そのことで尚一層SMに集中できる。

これを羨むなと言われても無理だろ。


・・・・と、TVで「羊たちの沈黙」が放送されるたび、俺はそんな強い憧憬と共に画面に釘付けになる。

間接的であるとはいえ、否、間接的であるからこそ、これほどS心をくすぐる映画も他にない。

次回テレビでこの映画を目にしたときはぜひ俺と同じ思いで鑑賞されたい。

shadow

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