金木犀

金木犀(キンモクセイ)の甘い香りが漂う季節になった。

辻々に咲く金木犀の香りにつられてふと立ち止まってみたり、可憐なオレンジ色の花を眺めたりするのは何も女性だけの特権ではない。

我々男性陣も秋の風物詩を大いに愉しむべきだろう。

匂い立つ色香、という意味では金木犀とM女性はいい勝負をしている。

外見だけを着飾ったセクシーさではなく、その内側から香り立つ色気。

近づくと魅了されずにはいられない存在感。

可憐ともいえる花の奥に秘められた情熱。

路面に落ちてなお甘い香りを放ち続けるのは、どこか情事後の移り香のようでもあり、しんみりした秋に不釣り合いなほどの濃厚な色香は、縄をかけられて頬を染めるM女の甘い吐息にも似ている。

そんな金木犀が辻々に咲き誇っている。

秋の恵みは多々あれど、これほどまでに悩ましげで素敵なものはないだろう。

雨風立たずに、今しばらく愉しめればと願う。

shadow

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