バンダナ一枚
ＳＭプレイにおいて一つの道具しか使ってはならない。
そう言われれば、みなさんは何を選ぶだろうか？
俺なら「バンダナ」と答える。
バンダナは口かせにもなれば目隠しにもなるし、もちろん手首だって縛れる。
麻縄も素晴らしいのだが、目隠しとして用いるには無理がある。
何より、バンダナなら常にカバンに忍ばせておくことができる。
高性能の一眼レフよりも常にそこにあるスマホカメラの方が何かと重宝するのと同じだ。
口かせや手首を固定するという行為は、ＳＭにおいて極めて重要だ。
世間一般から見れば困難な姿勢を要求しているように感じられるだろうが、実はそれら二つは女性の心を随分楽にしてやっている。
何故なら、建前の「やめて下さい」を言う必要がなくなり、建前の「いやいや」をする必要もなくなるから。
これによってM女の本能を解放してやることができる。
これはＳＭにおいてとても大切なことであるし、羞恥心の強いM女であれば尚のこと。
とかく初心者はバイブを揃えたがるが、あんなものは二の次三の次。
あるいは、あってもなくてもどうでもいい。
以前、さるＳ男性の方が持参した鞄を開けると、中にはＳＭの小道具がこれでもかと言わんばかりにずらっと整理整頓されて並んでいた。
同好の者としてその熱意には敬意を表するが、かといって、小道具では圧倒的に少ない俺よりも格上かといえば、別段そうとも思わない。
なまじ言い訳がましくなるが、この世界に身を置く者の端くれとして「最小限の調教道具で最大限の効果を」という美学もある。
そんな訳で俺自身、浣腸器など代替えが利かないアイテムを除いては、あまりごちゃごちゃとＳＭグッズは使わない。
たまに小道具を買うことはあるけれど、それらはプレイへの効果というよりも、むしろ写真好きなため撮影したとき見栄えを良くするちょっとした演出用だ。
そんなわけで、やたらとバイブだけを揃えている初心者の方も多いと思うが、まず求めるべきは首輪にムチ、そして麻縄だ。
あるいは、極端に言えば先ずはバンダナ数枚だけでも構わない。
三枚あれば同時に目隠しと口枷と手首が拘束できる。
こうなれば後は言葉一つでプレイは無限大に広がる。
初心者M女にはこれでも十分だ。
バイブなど、先に書いた通りあってもなくてもどっちでもいい。
ましてや、クスコ等のマニアックな器具などは余程のこだわりがない限り必要ない。
あくまで女性をイカせるのは、その目であり、その言葉であり、その指であり、そのチンポだ。
電流とモーターに頼るのは、生身の肉体を自由に提供してくれている女性に対してかなり手抜きであると考えるべし．．．というのが、俺の信条だ。
（とは言え、電マによる無限快楽地獄責めも実に楽しいが）
写真にせよ絵にせよ、無機質なものを使わない作品には生々しさがある。
それは責めの空間にしてもそうだ。
カーペットより石畳の床、シャンデリアより蝋燭、エアコンより暖炉．．．
ＳＭにこだわり始めると、ずいぶんとアナログ的な人間になってくる。
まあ、そう言いながらもパソコンやデジカメを駆使しているわけで、中途半端と言われればそれまでだけれども、いずれにせよ、ＳＭにデジタルやハイテクは似合わない。
ハイテク調教などに一体誰が興味を持つというのか？
ちゅうか、そもそも何や、それ？
まあ、いい。
とにかく、俺には最低限バンダナ一枚あればいい。
ｓｈａｄｏｗ
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