リトマス試験紙

今回のコラムはかなり以前に友人から居酒屋で聞いた話だ。

その友人もまたさる友人から伝え聞いたのだそうだが、心底かっこいい男性だと思ったので、ここでみなにもそのエピソードを紹介しようと思う。


恋する二人がいた。

数年の交際を経て二人は結婚を決めた。

しかしながら彼女の実家は某家元で、その両親は礼儀作法にたいそう厳しい人たちであった。

反面その男性は豪快な人物で、彼女の実家を数回訪れるもどこか相容れられないものがあったのだそうだ。

そんな折、彼女の両親から食事に招待された。

正式な席なので、彼は正装で来るように指定された。

当日、一同全員着席しての食事が始まると、彼女の両親その他からは値踏みするような視線が容赦なく彼に注がれた。

そんな視線や雰囲気にうんざりしたのかどうかなのか、その時、彼は何思ったか汁椀の中身を飯にぶっかけるとちゃわんごと鷲掴みにし、体育会系よろしく豪快にかき込み始めたそうだ。

その後も万事その調子で彼は全ての料理を平らげてしまった。

両親大いに失望し、まともな会話もないままに席が終了した。

彼が帰ると、あんな男性におまえはやれない、と両親が娘に伝えた。

しかし、食事の後片づけの段になってその両親は度肝を抜かれることになる。

何と彼が食事に使った箸先が5mmしか汚れていなかったのだ。

両親大いに感嘆し、その後、彼の大胆さの中にある繊細さを認めると、結局娘との結婚を承諾したという。


この話は、「かっこいい男とは?」という話題になったときに俺が必ず聞かせる話であり、俺にとってのかっこいい男性像を端的に表したものでもある。

この話を聞いてかっこいいとも何とも思わなかった女性の方へ、残念ながら貴女と俺とは少々価値観が異なるかもしれない。

もしも俺の調教を検討しているのであれば、今一度サイト全体に流れる空気感を見直した方がよいと思う。

この話を聞いて、大いに納得した女性の方へ、嬉しいことに俺と貴女とは馬が合いそうだ。

もしも俺の調教を検討しているのであればいつでもメールしてくればいい。

注:俺は決して箸先5mmでは飯が食えないということを念のために付記しておく。

shadow

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