かおるは、写真写りが悪く、
今までどんな人が撮った写真もどれひとつとしてきれいに写っていると満足したことがありません。
ですから、ご主人様が写真を撮ると言われたときも、最初はとても嫌でした。
ところが、ご主人様が撮影してくださったものはどれもが素晴らしい写真ばかりなのです。
一体どうしたことでしょう!?
縛られて、化粧が剥げてしまっている顔でさえも美しく見えるのです。
かおるがこんなに輝いているのは、ご主人様に愛されているから。
そして、かおるがご主人様をたくさん、たくさん愛しているからに違いありません。
そうでなければこんなに綺麗に写るはずはないと思いました。
かおるは撮影していただいた写真など、自分ではきっと見ないだろうと思っていました。
なのに、何度見たことでしょう。
それどころか、だれかに見てもらいたくてしょうがないのです。
かおるの縛れている姿や、恥ずかしいところを思い切り広げているような写真など、
知り合いが見たら、仕事もなにもかも支障が起きることは間違いありません。
かおるがそんな性癖を持っているなどとはだれも思いもよらないことでしょうから、
きっといろいろな噂が流れ、家族や親族を悲しめることになるかもしれません。
そう思っても、だれかに見ていただきたいと思うほど、
自己満足できる「作品」とも呼べる写真ばかりでした。
はじめて撮影していただいた写真で、
それほどまで自己陶酔してしまったというのは自分でも意外でしたが、
被写体となっているときには確かに、ご主人様の愛を受けているということがわかるのです。
「参考になるかと思って買ったけれど、どれもだめだ」
ご主人様がくださった緊縛写真集のモデルさんたちはどなたも美人ではありますが、
「気」が入っていないのが明らかにわかります。
「女性とカメラマンの気持ちが通じていない、形だけのつまらない写真だ」
とご主人様もおっしゃいます。
かおるを撮影なさるときのご主人様はどうかといえば、実のところ、かおるはほとんど覚えておりません。
「きれいなかおるを撮ってやる」と言ってくださったり、
シャッターを押しながら「いい表情だ。綺麗だ」と言ってくださったりすることは
断片的に覚えているのですが、かおるは撮影のことを忘れて「イク」ことばかり考えているのです。
かおるは、とろんとした表情をしていたり、潤んだ目つきで宙を眺めていたりするのですが、
それはいってしまったあとの余韻を感じているところです。
「かおる、いいぞ、いっていいぞ」とご主人は囁いてくださいます。
「すごくいやらしい写真だぞ」と言ってくださったりするだけでなく、
ときにはかおるがイケるように、ちゅーちゅーとクリトリスを吸ってくださることもあります。
かおるは撮影していただいている間にお潮を吹いてしまったり、
ときには気を失う寸前の貧血を起こすこともあります。
それほどイマジネーションで「イク」ことには集中力が要求され、
エネルギーを消費するのです。
両足と首輪を繋がれ、両手は上に引っ張られる型にしていただいたほか、
後ろ手に縛っていただいたままお口でご主人様にご奉仕したり、窓際で開脚縛りをしていただいたり、
テーブルに磔にしていただいたり、とにかくたくさんのバリエーションで撮影していただきました。
そして、撮影していただいたものを途中途中テレビ画面に映して、
ご主人様とごいっしょに見たのですが、前回にも増して美しいのです。
これはかおるの目がおかしいのでしょうか?
でも、ご主人様も「とても綺麗だ」と誉めてくださいます。
かおるはご主人様にお会いするごとに綺麗になっていくように感じます。
「だれかに見てもらいたい」と申し上げるとご主人様は
「写真館に出してやる」と言ってくださいました。
「おまえは目がきれいだ。顔を出したらダメか?」
ご主人様が撮影してくださった写真のなかで、かおるは「いって」いるのがわかります。
かおるがすっかり「いって」いるところを皆様にも見ていただきたい…。
でも、いろいろな事情もございますけれど、かおるの素顔はご主人様だけにお見せしたいと思います。
ご主人様はきっと、かおるの写真をホームページでご披露されると思いますけれど、
それをご覧になった皆様がどう感じていただけるか、楽しみでもあり、恐くもあります。
ご主人様が撮影してくださった写真は、かおるにとってはご主人様との愛の証ですし、
かおるの生きた証でもあります。
いつか、かおるが老いたときに、世の中に発表する機会が持てたら素敵だなと思っています。