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25日
まだまだ猛暑は続いているが、都会で蝉の声はめっきり少なくなった。コンクリートのあちこちに転がる亡骸を見ては、「よく鳴きつくした、あっぱれ」と、亡骸をつまみ上げて土の上に放ってやる。中には車や自転車にひかれてぺしゃんこになっているのもあるが、同情は不要だろう。彼らに一体何の悔いがあるというのか。人生かくありたいものだ。
虫取り網に捕まってやかましく鳴いている蝉を見ると気の毒に思う。けれども、子供を責められぬ。俺もそうしていたからな。せめてカゴの中で精一杯鳴くがいい。

18日
盆休み、何かと有名な鶴橋にある焼き肉吉田に行ってきた。騒がれるだけあって、さすがに旨いな。特にホルモンが美味かった。俺が今まで食べたどのホルモンよりも美味しかった、と書けば大袈裟か。けれども、そう感じたのは事実だ。しかもホルモンは当たり前だが安かった。高くて旨いというのが吉田の評判のようだが、俺はステーキハウスで食うような特上の厚切り肉などを焼き肉屋には求めていないので、このホルモンのみでも十分だ。近い内に吉田のホルモンをまた食べたいと切に思っている。惜しむらくはタレだな。ちょっと濃いめで旨いといえば旨いのだが、箸先で一口舐めただけで半端ない分量の化学調味料の存在が知れる。まるでインスタントラーメンのスープの味だ。ホルモンは塩もあるそうなので、次回はそっちも食べてみるか。ちなみにこの日、焼き肉は土産にできないので親父の好物である名物キムチサンドをたくさん買って帰ると豪語して家を出たのは良いが、店は盆休みだった。すまん、親父。最も、さすがに手ぶらでは帰れず、苦し紛れに買ったうなぎ弁当に感動することとなった。これについてはまた後日。

10日
さて明後日からは盆休みだ。明日は仕事を終えたら速攻で食事をしてまだ外の明るい内から寝る。深夜2時に親友が我が家に迎えに来て、そこから毎夏恒例の日本海キャンプだ。素潜りして獲った新鮮なサザエやアワビのバーベQがたまらない。今年は和食の板前も参加するようなので、せいぜいウニも食うとしよう。市場のイメージによりサザエは低級、ウニは高級と思っている人も多いだろうが、要するにあれは手間賃で、いったん潜ればウニなどうじゃうじゃいるし、サザエに比べて遙かに見つけ易い。問題は獲ってからで、さばくのが非常に面倒なのだ。今年は板前にその作業を押しつけようという次第。毎年このキャンプに行くに当たって一つ問題がある。上記のごとく夕方から仮眠に入るのだが、結局眠れるのはいつもの12時過ぎてからで、とても夕方からなど眠れるものではない。親友は運転しながら遠慮なく寝てくれと言ってくれるが、親しき仲にも礼儀ありで、ブラックガムを噛みながら運転する親友を見ていると会話で起こし続けるのが明らかな俺の役目だ。よって今年も明日は夕方から寝る努力はしてみるが、まあ、無理だろうな。何せ明日は考えたいことが多過ぎる。
台風が来るとかでキャンプが中止となった。残念だが、賢明な判断だ。とりあえず明日の夜は板前の店で親友と飲む。明後日は一日予定を入れずにのんびりしようか。それはそれで楽しみだ。

2日
帰宅後、冷蔵庫を開けると親父の作ったポテトサラダが入っていた。ありがたいことだが、その横には岩の表面みたいになった茹で卵が別皿で置いてある。途中で殻むきを放棄したようで所々それが残っており、さながら怒りのゆで卵といった風情だ。たまにうまく剥けずにイラッとくるときはあるが、その感情がそのまま見事に表現されている。どうも歳を取ると穏やかになるタイプと怒りっぽくなるタイプの二通りがあるようだ。確か水に酢を混ぜて茹でれば綺麗に剥けるとかいう小技があったようにも思うが、俺も親父もその酢がもったいないと感じるタイプだ。適当にやっても上手くいくときもあるので尚更使わない。
ポテトサラダで一杯やるのは好きだ。甘い味付けのやつは勘弁したいが、そういうときは少しカレー粉を混ぜて食べるのが俺流。今流行のハイボールにもよく合う。ポテトサラダだけではさすがに寂しいが、後は肉屋のコロッケが1つ2つと冷や奴か納豆でもあれば俺は十分楽しめる。手の込んだ料理で楽しむのも一興なら、質素な肴で一杯やるのもまた一興。大事なのは酒の味を最も左右するもの、すなわちその日一日をどう過ごしたか、これに尽きる。これを超える肴などなし。しばしば現実逃避のために酒を飲む者があるが、俺にとってのアルコールはむしろ現実確認だな。

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