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29日
本日春を感じる。
27日
子供の頃からの親しみもあって、俺は今まで駅そばといえば阪急そばが一番好きだったのだが、福井に旅行してその思いが大きく変化した。JR北陸本線にある駅そばは阪急そばを凌駕するほどに美味しかった。俺が食べたのは武生駅と福井駅だが、武生駅の方でのみメニューにあったにしんそばが忘れ難い。値段は450円。どうせしょぼいにしんが一枚乗っているのだろうとばかりに思っていたが、出てきたそれは何と丼の直径にほぼ等しい。おまけに厚みもあれば縦にも大きい。味もここより美味しい駅そばがあるなら教えてもらいといと思う程に申し分ない。福井駅では天ぷら蕎麦を食べたが、我が愛すべき阪急蕎麦とはそもそも天ぷらの格が違った。完敗だ。旨かった。雪の降り積もる季節なのでなおさら旨かった。福井に行ったら是非また食べたい。
23日
まだまだ寒い日が続くが、昨日、小さい春を見つけた。否、あれは随分とデカイ春だった。というのも、ミナミの街でぞろぞろと若い関取衆が歩いているのを見かけた。こういう姿を見かけるようになると春も近いということだ。街にこんな風物詩があるのはありがたい。
20日
再び福井駅前。ツアー旅行ではないので行動は完全にフリーだ。福井でもう一泊も良い、あるいは金沢か富山に行っても良い。あるいは敦賀というのもありだ。しばし熟考...結果、富山と金沢は今や残り少なくなってしまった未踏の地であり、将来の楽しみのために取っておくことにした。そこで俺が目指したのは武生という町だ。何をしに行くかといえば、ご当地グルメであるボルガライスなるものを食うためである。福井から30分程で到着。駅の売店で「ボルガライスを食べられる店に行きたいのですが」と言うと、若いレジのお姉さんが「県民ショウでは3軒紹介されたんですけど、どこでもいいんですかね?」というとても親切な返事。最も元祖の店に行きたい言ったら「ヨコガワ分店」という店を教えてくれた。何でも30年以上も前からボルガライスなるものを提供している店なのだそうだ。既に日が落ちていたので店の生き方もシンプルでありがたい。まっすぐ行って突き当たったとこ、だそうだ。実際そうだったのであるが、真っ直ぐ行くと実は神社に突き当たったのである。その参道に店があるという何やらけったいなシチュエーションだ。しかし入ってみれば真っ当な洋食屋である。2代でやっているようで、カウンターの向こうにいるのはどう見ても親子だ。「どちらからですか?」と主が気さくに話しかけてきてくれた。しばし談笑。残念ながらTV出演の恩恵にはあまり預かっていないようで、わざわざ食べに来る人は珍しいそうだ。「それは意外ですね」と本音で答えた。食べてみればオムライス+ポークカツレツで味は普通に旨い(ちなみにポークカツレツとはトンカツの薄いやつだと俺は解釈している)。完食しても腹にまだまだ余裕があるのでハヤシライスを頼んだ。やはり洋食屋ならこれを頼まねば失礼というものだろう(俺はそう解釈している。何故ならビーフシチューと並んで洋食屋の命であるデミグラスソースをふんだんに使った料理であるから)。しかし出てきたそれを見て俺は驚いた。まるで牛丼のように肉がてんこ盛りで、俺の見知ったハヤシライスとはいささか趣が異なる。洋風牛丼とでも言った方がぴんとくるかもしれない。一口食べてみれば相当いい肉であることが知れた。「これで850円は激安ですね。銀座行ったら1,800円は取りますよ」と言ったら、「いやあ、わざわざ遠くから来てもらって、そう言ってもらえて何より」とのこと。店を出て、APAホテルのある大聖寺へと向かう。まだまだ旅は続いたが、俺が帰りの車内で入力したのはここまでとなる。
13日
参道から福井駅直行のリムジンバスが出た後だったので、永平寺線を利用して市内まで戻ることにする。結果、この永平寺線からの車窓の風景が際立っており、これ以上ないくらいに旅情を味わうことができた。大阪では1cmの積雪さえないというのに、ここでは真横の凄まじい吹雪と一面の雪景色であり、俺はこの電車に乗っている間は福井というよりも大好きな青森に来ているような気がした。「近畿にもこんなところがあったのか!」というのが正直な感想だ(注:後でわかったことだが、例年にない大雪であった)。冬の城之崎温泉あたりは何度か行ったことがあるけれども、ここは雪の量が全く違う。この永平寺線の終着駅は温泉町になるらしい。来年(実質今年)の年末にはそこを訪れようと早くも予定を決めた。
10日
食後、永平寺へ。NHKのドキュメンタリー等でしばしば登場する禅寺(曹洞宗)の総本山である。俺のイメージとしては日本で一番厳しい修行が行われている寺であり、よって、とりもなおさず日本一荘厳な寺であるということだ。永平寺の修行僧はその生涯で二度だけ山門をくぐることが許される。一度目は入山するとき。二度目は修行を終えて下山するとき。よって、一度入山した以上、俗世間との交流を一切断ち切り、日々修行に明け暮れる....というのが永平寺の僧だと思っていたのだが、バスを降りると普通に僧が参道を歩いてはりますがな。???どうやら山門さえくぐらなければ修行中でも外へ出られるということらしい。この光景に俺の永平寺に対する威厳が少々揺らいだが、それでも中へ入ってみれば自然に身の引き締まること、今まで参ったどの寺よりも稟とした空気に満ち溢れている。テレビでよく見る長い階段を上がると雪の永平寺が一望できる。美しい。来て良かったとしみじみ思う。ただし、中国人の4,50人の観光客が騒がしい。彼らがいなければ雪の静かな永平寺が貸し切り状態で最高なのだが。俺は今まで日本の先々で彼ら団体を見てきたが、まさか永平寺でも遭遇するとは驚きだ。あまりにうっとうしいので30分程腰掛けてやり過ごす。再び静寂の永平寺。やはり素晴らしい。ときおり僧とすれ違う。決して話しかけてはいけないと事前に注意があったので、会釈もなくやり過ごす。みな若いな。広間にて「永平寺の一年」を見る。この寺は誰が撮ってもみな素晴らしいドキュメントに仕上がるようだ。最も、内容はいずれも同じだけれど。
6日
翌朝に2時間入浴。11時チェックアウト。ホテルのすぐ前にある老舗蕎麦屋に入る。客は俺だけ。店の雰囲気や喉の乾き具合からしてここは本来なら蕎麦屋酒を楽しむしかないのだが、食後は永平寺に行くので酒類を我慢する。この喉の乾きにしてこう思わせしめる永平寺の威厳は大したものだ。この店の蕎麦は珍しい平打ちだが、当然理由はあるのだろう?その訳を訊きたかったのだが、俺の注文を置いたきり店の女将らしき人は奥に引っ込んでしまった。といって接客がなってないとかそんな風でもない。とてもゆったりとした時間が流れている、そんな具合だ。東京などで蕎麦屋酒をやるよりも遙かに敷居が低く、また、財布にも優しく、更には雰囲気が俄然いい。蕎麦屋の後は店から徒歩10秒で再度ヨーロッパ軒へ。相変わらず空いていて1階に座る。再びカキミックス丼を注文。うまい。土産に特性ソースを購入。ちなみに、この店には俺的には何かと突っ込みどころの多い店である。先ずもって「ご飯の量調整できます!」とメニューにあるのだが、説明を読めばデフォルトから減る一方の調整で、決して増やしてはくれないようだ。女性に優しく、男には厳しい仕様と言えよう。まるでハードボイルドの見本のようなスタイルではあるが、何分ここは食堂である。丼には味噌汁が付いてくるのだが、コンソメスープ等ではなく普通の味噌汁であり、ソースカツ丼の立ち位置をみだりに混乱しているように思う。店の公式パンフレットにもあるように、これは洋食ではないのか?「宴会できます!」とあるが、どう見てもこのメニューで宴会をやろうとは思わない内容だ。メニューが悪い、と言っているわけではない。ソースカツ丼の他はハンバーグやカレー、サラダやスープ等があるのだが、要するに町の洋食屋であり、これで宴会は厳しいのではないか?ソースカツ丼の器はローカル線の駅前大衆食堂が丼ものに使ってそうな普通の和丼なのだが、丼の底にはヨーロッパ軒の文字が。その外観とh裏腹に特注丼のようである。レジ横には土産の特性ソースと共に特性パン粉まで売っているのだが、果たして買う者はいるのか?ここのソースカツ丼が美味しいのはよくわかったが、いささか福井県内に店を展開し過ぎではないのか?以上、俺の突っ込みだが、まあ、ほとんどの客は気にしてないだろうな。
2日
再び風呂に入って、部屋でのんびり読書。今回の旅の共は老子、落合博満の采配、東北新幹線でのワゴンサービスでダントツの売り上げを誇る女性の著書。老子はいつも旅に出る時には入れる。何度読んだところで、読み終えるということは決してないし、仮に読む本がなくなっても原語の漢文をじっくり眺めていればまた別の味わいが出てくる。ワゴンサービスの本は去年の早い時期から読んでみたかった一冊だが、年末のとっておきの時間の為に読まずにおいたのだ。新幹線のワゴンサービスなど誰がやっても売り上げは同じように思っていたが、どんな仕事であれ工夫の余地は無限にあることを知った。しばし手を止めて「俺の仕事にはどんな工夫ができるだろうか?」と真面目に考えてみたクリスマスの夜。
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