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31日
それを偽物といっては鳥に失礼だが、その上での話。俺は毎年一度だけ本物のフライドチキンを食べる。すなわち、ケンタッキーフライドチキンだ。コンビニのフライドチキンが如何に美味しく進化しようとも、やはりそれを本物と言うわけにはいかない。年々その味の差は縮まり、今や逆転したとまでは言わないが、ここまでくれば後はもう好みの問題である。けれども、クリスマスに食うならばケンタッキーこそ食いたい。昨年末もそうした。親父と二人でかじり付いた。合わせる飲み物はたっぷりとレモンを絞ったコークハイに限る。カロリー的な意味も含めて年に一度の贅沢だ。何せ、いくら俺がフライドチキンが好物だといったところで、普段なら食べて2個まで。クリスマスに限っては5個は食う。美味かったな、久々のケンタッキー。またクリスマスに会おう。

28日
福井へ通うようになってあちこちで越前蕎麦を食べたが、一つ困ることがある。俺の最も気に入っている食い方は、蕎麦つゆにはくぐらせず、蕎麦だけ、あるいは越前蕎麦では必ず薬味に付いてくる鰹節とねぎのみで食べる方法だ。それで二口ほど食べたら、蕎麦つゆで一口。この繰り返しだ。どこの店でもこのスタイルで食うので、親切心で「越前蕎麦はつゆを全部かけて召し上がって下さい(つまりぶっかけ蕎麦風に食べる)」と声をかけてくれる店主や店員が時折いるのだ。これが一番困る。その度に「こうして蕎麦だけ食べるのが好きなんです」と答えるのだが、これが妙に蕎麦通を気取っているような気がして、どうも嫌なのだ。その点「さのや」はいいな。福井市内で一番の老舗にして、未だかつて一度もそんな説明を受けたことがない。ちゅうか、それ以前のこととして、この店の人はこちらから話しかけない限り決して話しかけてこない。酒や料理を運んだら、いい意味で後はほったらかしだ。といって、店の奥に引っ込むわけでなく、いつでも注文を聞けるような位置にいてくれる。そして、俺の方には一切視線を向けない。味だけではなく全てが良い。これを名店と言わずして何と言う。まあ、俺が暇な時間帯に行っているというのもあるが、これは蕎麦屋酒を楽しむ上での基本だろう。俺は福井駅に着くと降り立つと真っ先にこの「さのや」を目指すのだが、話す言葉と言えば毎回、「熱燗とにしん」「はい」「熱燗お代わり」「はい」「おろし」「はい」「ごちそうさまでした」「ありがとうございました」のみだ。店にはいつも一時間以上いるので、いかに俺がのんびりくつろいでいるかということだ。此処ほど気取らずに、しかものんびりと蕎麦屋酒ができる店を俺は他に知らない。蕎麦屋といえば東京だが、東京にはこんな店はないんじゃないか?俺が年末の仕事を終えると即行で福井に向かってしまうのは、結局のところ一年の仕事の無事に感謝しつつ「さのや」でのんびりとした時間を過ごしたいからなのかもしれない。今年も当然年末休暇の初日は「さのや」だ。福井についてはまだいろいろ書きたいことがあるのだが、ぼちぼち京都駅に着くようだ。実は先日からの福井の雑記は持参したシグマリオンにて旅の終わりにサンダーバードの中でリアルタイムで打った。今からは一旦家に土産の駅弁を置きに帰ってから馴染みの中華料理屋で一杯やるつもり。それから映画館だ。それでも、まだ何と休みが一週間以上も残っているではないか!!まだまだ楽しみは続く。

24日
勝山に着くと、俺以外全ての乗客は連絡待ちしていたバスに乗り込んでいく。みんな恐竜が目当てのようだ。一人徒歩で駅舎を離れる。多数のノラ猫。人慣つっこいのでしばらく遊ぶ。駅前に架かっている橋からの九頭竜川の流れが美しい。わざと轍を避け、シャクシャクと雪を踏み鳴らしながら歩くのは雪が積もることなど滅多にない大阪育ちの俺にはとても楽しい。勝山の町に人気はなく、ときおり車が通り過ぎて行くくらいで、とても静かである。大通りは避け、昔ながらの低い塀の家々が残る細い路地を適当に散歩した。雪景色と相まって実に風情あるな。途中、場違いな程に恐ろしく貫禄のある料理屋に出くわす。建築が古い上に表に品書きなどは一切なく、ただ藍の暖簾の隅に書かれた「御料理/鮨」でここが飲食店であるということがかろうじてわかる、そんな店だ。旅行にはそれなりの金を財布に入れるので入っても良かったのだが、今思えばやはり少々びびっていたのだろう。そこから程なくして八助という蕎麦屋に着いた。昔ながらの建物。障子戸の向こうからは石臼を挽く音が聞こえてくる。ここが蕎麦の銘店であることはもはや疑いがない。入ってみると店内は一杯だ。蕎麦茶を飲みながら待っていると、やれ東京から来ました等の声が聞こえてくる。「これだから適当旅は止められぬ」と一人ごちた。同じ蕎麦を食うにしても、事前にネットで調べて来たのと偶然に辿り着いたのとでは、その味も意味も全く異なる。後者が旅だとすれば前者は何だ?単なる味のスタンプラリーといったところか。まあ、俺も下調べをすることはあるのでここまで言うのは酷か。一枚が安い代わりに量はさほどないということなのでおろし、ざる、やまかけの三種を頼んだ。メニューはこれが全てだ。ちなみに、おろしとは越前地方独特の食い方で、わさびの代わりに辛み大根のおろしが蕎麦つゆに混ざっていて、それを一気にぶっかけて食うという具合。言うまでもなく、どれも全て美味しかった。しかも、安いのだから文句の付けようがない。こりゃあ、蕎麦好きがわざわざ遠方から来るのもわかる。蕎麦の実を持参すれば店の石臼で挽いてくれるというサービスもあるようだ。俺はこんな店を他に知らない。(続く)

21日
昨年末の28日、俺は越前鉄道の車中にいた。前日の午前に年内最後の仕事を終えるとそのまま福井を目指したのだ。俺にしてみれば休暇の二日目だが、世間一般の扱いではまだ平日になるようで車中は空いていた。あるいは、福井市内から山奥へと向かう路線なので、休日であってもこの調子なのかもしれない。どこにでも座れたが、乗降口の扉横に立ってぼんやりと車窓の光景を眺めた。今回、市内では拍子抜けする程に雪が薄かったが、山々が近づくにつれ風景は白一色になる。そんな景色を見ているのかいないのか、次から次へといろんなことが頭に浮かんだ。中でも、旅行直前、緊張しながら不意に訪問したにも関わらず暖かく迎えて下さった師との短いやりとりがひときわ心を暖かくした。気が付けば永平寺口駅を通過している。永平寺の凛とした空気は一年を締めくくるに相応しいものだと思うが、降りて引き返す気にもならなかったので、そのまま乗り続けることにした。それがとても駅舎とは言えぬような駅をいくつも越えると九頭竜川の流れが見えてくる。雪に彩られたそれはとても美しい。アテンダントの説明によれば、昔、川が氾濫する度に姿を変えたので崩れ川と呼ばれていたのがいつしか九頭竜川となったのだそうだ。ちなみに、アテンダントとは越前鉄道独特のシステムで、ほとんどの駅舎が無人であるので、若い彼女たちがいわば券売機であり改札なのである。「福井からずっと立ちっぱなしですね」「この方がよく景色が見えるから」おそらくこのまま終点の勝山まで行くだろうと告げると、勝山の地図を鞄から出してくれた。これが後々重宝することになる。恐竜博物館が町のシンボルなのだそうだが、特に興味はわかない。地図を見れば蕎麦屋が何軒か載っている。雪を踏み鳴らしながら町を散歩して蕎麦でも食うか...これで目当ての店ができた。ネットであれこれ下調べせずともこうしてちゃんと呼んでくれる店はあるものだ。これこそ適当旅の醍醐味といえる。(続く)

17日
かんぴょう巻きの続きではないが、素朴で旨いといえば、この冬によく作っているのが「ホタテと豆腐の小鍋立て」だ。ホタテといっても、俺が使うのはベビーホタテが多い。スーパーで気の毒な位に安く売られているアレだ。既に火は通っているので、風呂の前にホタテと豆腐を火にかけておくだけで極めて素朴で旨い肴ができる。なくても構わないが、最後にニラを乗せて出来上がり。それをポン酢で食う。小鍋立てはやはり日本酒でやりたい。銘柄はどこでもいいが、器にこそ凝りたい。鍋、調子、猪口。カニなど食わずとも、冬のありがたさと素敵さを存分に味わえる。小鍋立てのレシピ本がまだ出版されていないのが不思議だが、そもそも肩肘胃張らずに適当にやるのが小鍋立ての良さでもある。レシピ本など野暮か。マグロが特価で安く買えたらネギ間鍋でもやりたいものだ。

15日
正月二日と三日の昼間はおせちで一杯やりながら読書をしつつ横目でTVを見た。せわしく聞こえるかもしれないが、俺にしてみれば最高にのんびりしている。TVとは駅伝のこと。昔、両親が駅伝を見ているのを「一体何が面白いのか?」と思っていたのだが、気が付けば俺もはまっていた。今や正月駅伝は俺にとってもなくてはならない存在だ。これぞまさに正月。駅伝にしろ、野球やサッカーにしろ、母校が強くてTVで応援の機会があるというのは羨ましいものだな。俺はといえば夏の高校野球大阪府予選のベスト8が母校的には最高で、その他はさっぱり。まあ、この先もテレビに出るような活躍はないかな?

11日
正月休みの最後となる日曜日、家に帰ってみればテーブルの上にかんぴょう巻きといなり寿司の入った箱があった。風呂に入ってから日本酒で寿司を食う。連休中、さんざん美食を食い散らかした後のかんぴょう巻きが胃に染みる程旨かった。前日など、一度行ってみたかった双龍居という有名中華料理屋にて「美味い、美味い!!」を連発したなかりであったが、それよりもかんぴょう巻きの方が遙かに美味しいと感じた。美食が続いたから?胃が荒れているから?本当に美味いかんぴょう巻きだから?俺にはわからなかったが、とにかく感動ものの旨さだった。「通はかんぴょう巻きだろ...」などとねじりマフラーのタレントが言うのを「けっ!」などと思っていたが、確かに美味いな、これは。寿司屋ではかんぴょう巻きと熱燗で一人ダラダラ、などというのもオッケーなのかね?オッケーというのはもちろん頼めるのは頼めるだろうが、それなりの寿司屋で大人の食い方としてオッケーなのか否かということ。まあ、これは店の馴染みになってからやれということか。また食いたいものだな、かんぴょう巻き。

7日
新年あけましておめでとう。スケジュールには早くも今年の予定があれこれ入っているが、中でもとりわけ重要な用件が二つ。一つは仕事なので、ここでは書く必要もあるまい。もう一つは、二十年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮が今年取り行われるのだが、見学は可能なのか?可ならば、現場の空気感の端くれでも体験しておきたいと強く思っている。不可ならば、せめてお参りだけでも。大阪からは宿の心配が要らないので詳しく調べていなかったが、ぼちぼち調べねばな。これも結局は仕事と関係があってのことなのだが、二十年前はこんなことはこれっぽっちも頭に浮かばなかったので、俺も少しは成長したということか?さすがにこの日ばかりは鶴橋に立ち寄っての焼肉は控えようと思う。

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