2020年8月

27日

夕食には折々にマイブームというものがあって、前回のそれはあんかけ焼きそばだった。

元々好物で神戸の中華料理店などでよく注文する料理だが、コロナの影響により久しく神戸には行っておらず、その味を懐かしみ気が付けば家で作るようになっていた。

店の味が10だとすれば7,8割の再現度といった具合。

家メシとしては上出来だ。

麺を香ばしく焦がすと美味しい。

で、約二ヶ月間、週に二度ほどあんかけ焼きそばを作って食べてきたが、ここにきてさすがに飽き始め、最近では週に一度のペースに落ち着いている。

その代わりとして次世代マイブームとして最近急上昇なのがオム焼きそばだ。

生麺タイプの日清ソース焼きそばをオムライスのように卵でくるみ、そこにマヨネーズと青のりをたっぷりとかける。

これでビールを飲むもよし、ご飯のおかずにするもよしで、結構な頻度で食べている。

きっとこれはサン地下(神戸三宮地下)にある焼きそば専門店長田庄本店を懐かしんでのことだと思われる。

要するに、俺は神戸に行きたいのだ。

そんな俺の深層心理があんかけ焼きそばやオム焼きそばを作らせているのだろう。

サン地下の長田本庄軒でマヨネーズてんこ盛りのオム焼きそば定食で生ビールをあおり、その後ほろ酔い気分でフェリーターミナルのベンチでずっと海を眺める、そんな日がいつ再び訪れるだろうか。


13日

現在、親父は週に二回訪問入浴サービスを利用して風呂に入っている。

これは介護士が家に来て親父を我が家の風呂に入れてくれる、というサービスではない。

親父が寝ている部屋の空きスペースに二分割式の浴槽を設置し、そこで入浴できるというサービスだ。

湯は表に停めてある軽自動車に積まれたボイラーからホースを引いて供給される。

その要領の良さと親切さはなかなかのもので、女性二人、男性一人の計三人に頭のてっぺんからつま先まで丁寧に洗われて、まさに王様の入浴を見ているようだ。

親父はこの週二回の入浴で十分満足しているようだが、それでもたまに頭が痒くなるようで、

そんなとき、

「ちょっと頭掻いてくれへんか」

などと頼まれる。

と、俺は洗髪ブラシで頭を擦ってやるのだが、その時の親父の反応が面白い、ちゅうか、笑わずにはいられない。

よほど気持ちがいいのか、

「ひひゃ~」

「うぅぅ...」

「くわぁ~」

などと、言葉にならない言葉が口から漏れて、それがおかしくて仕方がない。

食事の時間に起こす時、肩を叩いたりして起こすと何やら寝ぼけた反応なのだが、

いきなり頭をブラシで擦ってみると、やはり、

「ひひゃ~」

といった反応が返ってき、爆笑を堪えるのに苦労する。

訪問看護士の見よう見まねでベットに寝かせたまま紙オムツを使って洗髪する方法もマスターしたが、俺がそれを申し出ても受けたがらない。

若い女性に洗ってもらうことに比べれば俺などには洗ってもらう気にはなれぬということか。

まあ、俺はそれで多少は楽ができるので一向に構わないが。


13日

世間では盆のようだが、俺にいつもと変わらぬ介護の日々だ。

先日、俺が子供の頃あちこちの中古車屋で二束三文の値が付けられて並んでいたレトロBMWが現役で走っているのを見かけた。

それが実にカッコイイ。

きっと今ではマニアの間で値が吊り上がっているのだろう。

当時、ファイヤーバード・トランザムなど10万円以下で売られていたが、今はいったいいくらなのか?

そう考えればあの頃はお宝が街じゅうに転がっていたということになる。

ヨタ8やビートルなどもあちこちで安く並んでいたな。

バイクではSUZUKIのKATANAなどは購入してデッドストックしておけば将来お宝確実だろうとは思ったが、残念ながら保管スペースがないので手が出なかった。

美しいフォルムなので、ガレージなどあるならば眺めているだけでも楽しいだろう。

高校時代に計画した人生プランでは今頃俺は深緑のジャガーに乗っている筈なのだが、予定は大幅に遅れているようだ。

正確に言えば若い時分にコルベットを乗り回してから歳相応にジャガーに落ち着く予定だったのだが、未だコルベットさえ乗っていない。

まあ、人生こんなもんだろ。

今好きな車一台やると言われたら、やはり深緑の旧ジャガーを選ぶ。

実に美しくていい車だな、あれは。


6日

俺は通年でよく食べるが、普通、一年で最も鰻を食べるのは今の時期だろう。

今年は例年に比べて中国産が特に安いので、つい買ってしまう。

ちなみに近所のスーパーでの最安は三匹で1,000円だった。

俺にとって鰻には食べ方のコンボがある。

例えばカレーの場合、先ずは具だくさんのポトフを作る。

初日にポトフを食べたら、二日目にその残りをベースにしてカレーを作る。

鰻であれば初日に半分を酒の肴、もう半分を鰻丼で食う。

二日目は残った鰻の頭と尻尾入りの茶碗蒸し。

鰻の頭は茶碗蒸しとの相性が抜群に良い。

夏なので冷やし茶碗蒸しにしたいところだが、鰻入りの場合は温に限る。

それを冷酒でやる。

旨いな。

この楽しみ方を見い出すまで頭の部分は我が家に遊びに来る猫にやっていたが、もうありつけぬだろう。

すまんな。

頭を捨てている方にはぜひすすめたい食べ方だ。

ところで、茶碗蒸しといえば少し手間の掛かるイメージがあるかもしれないが、覚えてしまえばこれほど簡単な一品もない。

適当な容器に玉子一個、水、白だしを入れてよくかき混ぜる。

そこに具を入れたら蓋をするなりラップをするなりし、湯を張った鍋で蒸す。

それだけ。

水の量と蒸し時間にコツがあるわけだが、慣れてくれば店のような茶碗蒸しが簡単に作れるようになるだろう。


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